すぽん 詩集『5秒で考えたけど言いたかった』
すぽん 詩集
5秒で考えたけど言いたかった
お元気ですか!
ハローと登場 魔女っ子ユミちゃん 今年で二十
自転車乗り回し スティック振り回し
魔法であなたを捕まえる
「あの先輩 星野源にちょっと似てない?」
高校の後輩はフランス語選択 青山学院に行ったらしい
ユミちゃんの口癖 サングリアしか飲めないの
リュックはカンケン カットソーはユニクロ
あなたを捕まえるのは不思議な魔法
歩くだけ
いちごともだち
早めに摘んで
夏がくるまで
あなただけ
いちごともだち
最後に残して
ショートケーキの
春は夢
いちごともだち
蜂蜜かけて
甘くないのは
私だけ
こんこんこん。
入ってま〜す。
トイレの神様ですか?
いえ、違います。
そうですか。それは失礼しました。
彼はトイレの神様になんの用だったんだろう。
冗談なんてやめてって
ここが世界の真ん中だって
それで君が笑えばって思ったんだ
雨は止んだ
だけど傘は差したままだった
傘と傘とがぶつかる距離で
「じゃあここで」と君は背を向けた
君が行くのは東新田でぼくが行くのは緑が丘
側とかそういうのじゃなくて
二人は別の街に行く
雨は止んだ
それでも君の顔はぼやけてく
ぼくの声は雨音に含まれ地面に叩きつけられていく
ここは橋の真ん中です
覚えてください、ぼくの名前を
「100円やさい」
ぼくが読みあげたときに彼女は言った。
「それ、方言?」
えっ?
「100円だから、みたいな」
「100円だから、なんなのだろう」
「うーん、買っちゃうのかも」
「なるほどなあ」
彼女はそう言って笑った。
100円だけど、そこに野菜はなかった。
家族になろう 君とぼくとで
カラダに優しいアロマテラピー
家族になろう 恋じゃなくても
耳にやさしい 愛のメロディ
深夜2時の 街灯の灯りに
照らされた君が 口を開いた
「この灯りも誰かが働いてくれるから点いてるんだよね」
ぼくじゃない誰かのための 君の優しさ
家族になろう 2人じゃなくても
カラダにやさしい アロマテラピー
ぽかぽかぽか
ここはクリちゃんの店だよ
ぽかぽかぽか
ここはクリちゃんの店だよ
なんのお店だかは知らない
なんのお店だったのかもわからない
クリちゃんはそれでも笑ってる
「えらいひとがきめたんだ」
ぽかぽかぽか
ここはクリちゃんのお店だよ
パンダはモノクロをやめて駅から2分間、桜色。
空の雲はふわふわと消えて空は一面、青い色。
桜パンダはどこまで行けるかな。
桜パンダはどこまで行けるかな。
カラフルなチョコレート、リンツの銀紙。
シャネルのルージュが唇に浮かぶあの子。
桜パンダはどこまで行けるかな。
桜パンダはどこまで行けるかな。
季節は春、冬が過ぎての春。
あの子の白い肌に桜色が浮かぶまで。
「ずっとあそこで立ってるの、あの人たち」
「何を話しているんだろうね」
「もう、話も尽きて黙ってるのかも」
「ああ、あのときはよかったなあ、とか」
「あのときって、いつだろう」
「もうあのときも思い出せないぐらい立ってるのかも」
「ああ、あのとき、ジャケットが色違いって気づいたとき、とか」
「ああ、それを『あのとき』って初めて言ったときとか」
「あのとき、ねえ」
「ずっとあそこで立ってるの、あの人たち」
「何を話しているんだろうね」
「もう、話も尽きて黙ってるのかも」
「ああ、あのときはよかったなあ、とか」
「あのときって、いつだろう」
「もうあのときも思い出せないぐらい立ってるのかも」
「ああ、あのとき、ジャケットが色違いって気づいたとき、とか」
「ああ、それを『あのとき』って初めて言ったときとか」
「あのとき、ねえ」
いかA「足疲れた」
いかB「最近どうよ」
いかA「もう足がまわんね〜」
いかB「なんか墨が最近薄い気がするんだよね」
いかA「病気じゃん?」
いかB「健康診断でさ、要センター受診って」
いかA「大丈夫かよ」
いかB「まあ、諦めてるけどね」
いかA「そんなこと言わなくてもいいじゃないか。ほら、これ見ろよ」
いかB「あっ、チケットゾロ目じゃん」
いかA「まぁ、そういうときもあるさ」
問題なのはさ、ここに車を停めれば幸せになれるのか、それとも幸せがここに停まっているのか、なんだよ。
前者はいいよね。なんか幸せになれるならなんでもいいよ。
でも後者はどうだろう。
そこに幸せが停まっていたからといって、別にぼくが幸せになれるわけじゃない。
そもそも幸せって停まるものなのかな。
ぼくは動いてるイメージがあるけど君はどうだろう。
だいたい車の形でもしてるのだろうか。駐車場って言ってるしね。ランボルギーニみたいな形なのかな。
まぁ、要するにさ、よくわかんないんだよ。幸せって。
とりあえず乗ってかない?
美味しいたい焼き屋さんが近くにあるんだ。
うん、ぼくは、幸せだけどね。
すぽん(@supom503) ものかき
落ち込んだり、舞い上がったりを繰り返しながら日々を送る。ホットケーキ2枚で粒あんを挟んだものを食べる貪欲さで、今日もせっせと執筆中。